HRPT復調回路の製作


まず、BPSKの復調回路から着手(2000年5月18日追加)

今のところ応用回路例の通り作っただけ
回路図はこちら

VCXO
VCXOの水晶は10.700MHz。NECのデータブックではキャプチャーレンジが低いほうに広い(+900Hz、-3kHz)ことから、10.7015MHz(LSB用キャリア)の方がいいかも。この発振回路は、水晶の直列共振周波数の方を使っているので、普通の水晶振動子の場合、表示周波数より高いところで発振すると思います。
水晶に直列のCR回路(R2011とC2017)で移相回路を構成し90°の位相差の信号を作っています。CR1段なので正確には90°にはなりません。5°の位相誤差のとき、妨害が0.4dB増加と等価らしいです(*1)。この0.4dBという数字を「たったの0.4dB」と解釈しています。
この周波数の水晶は秋葉では絶滅。会社をサボって川崎駅近くのサトー電気まで行って買ってきました。
水晶を入手する前にLCの共振回路で実験しましたがNGです。キャプチャレンジが広すぎるみたい。信号源を作る前だったので正確な評価ではないですけど。

*1 高周波回路の設計と実装 宮本幸彦著 日本放送出版協会 ISBN4-14-072027-1

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LPFの設計(2000年6月21日追加)

uPC1478Cの同期検波出力(3、4pin)に接続するLPFの定数を求めました。

出来上がりの回路図はこちら

LPFの設計の際、終端インピーダンスが必要。uPC1478Cのデータシートには1、2pinの入力インピーダンスの記載がないので調べてみました。

3pinの出力を抵抗1kを通して2pinに入力します。このときの、3pinの端子電圧V3と2pinの端子電圧V2の比から1、2pinの入力抵抗を計算します。3pinの出力抵抗は十分小さいと仮定しました。
上:3pin、下:2pinの電圧
実験の結果、V3:V2がだいたい2:1だったので、1,2pinの入力抵抗は1kΩと判断。

「DSP処理のノウハウ」(西村芳一著 CQ出版ISBN4-7898-3352)についていたLCフィルタの設計プログラムを使って、5次2.4MHzベッセルフィルタの定数を求めました。



手持ち部品の中に18pFがなかったので15pFで代用しました。
フィルタのf特をシミュレーションすると



uPC1478Cの3pinと2pinの波形はこうなりました。
200nS/div

ここまでの検討で、uPC1478Cを使ったBPSK復調回路のめどがたちました。将来、MTSATのQPSKを復調するときに、90°位相回路の定数を見直すつもりです。
また、uPC1478CのIF入力信号の振幅は200mVが標準となっています。受信機構成の際は、AGC回路が必要になると思います。リミッタアンプではNGです。
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マンチェスタ復号回路(2000年6月22日)



uPC1478Cで復調した信号は、マンチェスタ符号化されています。これを復号してNRZ信号に戻すのがマンチェスタ復号回路です。上の写真の右側半分がuPC1478CのBPSK復調回路、左側がマンチェスタ復号回路です。ここでは、ハリスのHD6409というICを使って復号しています。

回路図はこちら

ICを持ってきてくっつけるだけの簡単な回路です。HD6409の3pinにuPC1478Cの15pinまたは16pinを接続します。
難しいところは、コイルを自分で巻かなければならないことくらいでしょうか。
コイルは、7kボビン(7mm角のシールドケースに入ったもの)に直径0.2mmのポリウレタン線を16回巻いてあります。15pFをつけて共振周波数を計ったら24MHzで共振していました。
7kボビンは、ジャンクのコイルの巻き線をほどいて用意しました。昔、100個入りとか200個入りの箱入り新品ジャンクが秋月(信越)で売られていたのがあったので、これを使いました。最近は、千石電商で1個100円のを見たことがあります。もし、何処かで大量に出ているのを見つけたら、速攻で買っておきましょう。
このコイルの調整方法は、オシロで3pin(入力信号)と8pin(再生クロック信号)をみて、2つの信号が流れることなく同期が取れるようにコアの出し入れを行います。私はこの方法で調整しました。

このように調整した結果、BPSK信号発生器のBASEBAND信号が復調できました。
2μS/div
上が信号発生器のBASEBAND信号、下がHD6409の5pinの波形です。信号発生器で、シフトレジスタを使ったFIRフィルタで波形を整形していますので時間遅れが生じています(上の写真で3目盛り 6μS)。

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続く

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