パワーメータの製作


訂正
電圧からdBmへの変換式の誤記を訂正しました。(2001年4月11日)
電源が単3電池を4本直列したものでは、電池が消耗して電圧低下したときに誤差が発生します。6V以下にならないような電源を使ってください。(2001年4月11日)


ホストプログラム(2001年4月11日)(2001年4月25日追加、プログラム修正)
ホストのPC上で動作するプログラムを作りました。 

使い方
PCとパワーメータをシリアルケーブルで接続した後、プログラムを起動します。
測定開始ボタンをクリックすると1秒間隔で入力電力を測定し表示します。入力レベルがdBmで直読できるようになります。

デバッグしつつなので不要な情報が多いですが、機能的には最低限です。こういう機能があったら良いというご意見ありましたらメールください。たとえば、アベレージ、マックスホールド、ヒストグラム...

実は、開発していたPC(win2000pro)ではOKなんですが、別のPCではデータが読み取れないことがあります。引き続きデバッグします。
通信速度を19200ボーにしたら改善しました。なぜでしょう?
動作したPCは (1)libretto50 (2)aopenMX3S+WIN98SE、WIN2K Server (3)DTK PRM68I+WIN98SE、WIN2K pro (4)ThinkPad235+WIN98です。
動作しなかったPCはABIT KT7RAID + WIN2K proでした。


開発環境はdelphi5proです。
通信コンポーネントには千々岩幸治さん作成の「Delphi4用 RS-232C 通信コンポーネントVer2.1」を使わせていただきました。どうもありがとうございます。


pwmtr015.lzhをダウンロードする

PICのプログラムも変更してください。picadv21.lzhをダウンロードする。
ホストから測定コマンドを送ると測定結果を返してくるような構造に変更してあります。


アナデバ社のAD8307ANを使ってパワーメータを製作しました。(2000年9月15日)

AD8307ANは、入力信号のレベル(dBm)に応じたDC電圧を出力するログアンプICです。
データシート上では、入力レベルは-75dBmから+17dBmで92dBのダイナミックレンジがあります。周波数帯域はDCから500MHzとなっています。


構成
回路図はPDFファイルのとおりです。
ログアンプの出力をPICマイコン(PIC16F877)に接続して、A/D変換(10bit)した後、RS232CでホストPCにデータ転送します。
データ転送は4桁の16進データで行われますのでexcel等で読みやすい形に変換します。
マイコンのプログラムは、CCS社のPIC Cコンパイラ(CCSC)を使って書きました。非常に簡単なプログラムです。
ソースとHEXファイルはこちら



AD8307ANの部分は、生基板に空中配線で組み立てました。


ホストパソコンには以下のようなデータが転送されます。
電源onするとコマンド待ちの状態になります。パソコンのキーボードから「S」をタイプすると測定データ番号と4ch分のA/D変換データが0.1秒ごとに転送されてきます。
ログアンプの出力はch3に出力されます。

AD Converter ver1.0
waiting for command
Type s or S to start
AD Converter ON
linenum,ch0,ch1,ch2,ch3
0001,02C5,026B,0226,0029,
0002,00BF,00FB,0113,0029,
0003,00BF,00FB,0113,0029,
0004,00BD,00FA,0113,0028,
0005,00BE,00FA,0113,002A,
0006,00BE,00FB,0113,0029,
0007,00BE,00FA,0113,0029,
0008,00BE,00FA,0113,002A,
0009,00BE,00FA,0113,002A,


たとえば8番目のデータは002Aですので、excel等で以下の様に変換します。

HEX2DEC(002A)*5/1023

フルスケール5V、10bit分解能なので5/1023をかけます。


測定結果


表1 入力レベルに対する読み値の変化

入力 読み 読み 読み 読み 読み 読み
dBm 100MHz 200MHz 500MHz 700MHz 1000MHz 1500MHz
-90.0 -76.1 -76.1 -76.1 -76.1 -76.1 -76.1
-80.0 -74.9 -75.1 -75.9 -76.1 -76.1 -76.1
-70.0 -69.6 -70.0 -73.0 -75.9 -76.1 -76.1
-60.0 -60.0 -60.8 -63.6 -73.0 -76.4 -76.1
-50.0 -50.2 -50.6 -53.4 -62.1 -76.4 -76.1
-40.0 -39.8 -40.4 -43.2 -49.8 -67.2 -77.2
-30.0 -30.0 -30.4 -33.0 -38.7 -55.3 -80.4
-20.0 -20.0 -20.6 -22.7 -27.6 -43.2 -73.4
-10.0 -10.2 -10.8 -12.3 -16.8 -31.2 -61.3
0.0 0.0 -0.2 -2.5 -4.6 -18.1
3.0 3.0 2.8 1.5 -0.4 -14.7

SGの出力の都合で3dBmまでしか測定できませんでした。
100MHz −30dBm入力で校正しました。
100MHz −60dBm〜−10dBmの傾きから25.9mV/dBとしました。
AD8307ANの出力電圧VとdBmの変換式は
dBm=V/0.0259−82.48となりました。(2001年4月11日訂正)


500MHzで3dBくらいの誤差があります。
入力レベルは-75dBm程度まで直線です。
データシートの特性を大体再現できているんじゃないかと思います。

まとめ
AD8307ANを使うと、非常に安価にパワーメータが作れることがわかりました。ニューカマーの方の役に立つのではないかと思います。
また、PICでA/D変換し、RS232Cで転送するという機能も簡単に実現できました。

このログアンプを使って、アンテナパターン測定器を組み立てようかと考えています。


おまけ
AD8307を使った最近の製作記事

誌名 題名 内容
VHF COMMUNICATIONS 2/2000 LOGARITHMIC AMPLIFIER UP TO 500MHz WITH AD8307
(DJ8ES)
AD8307とLTC1286(シリアル転送のA/D)の組み合わせ。オペアンをつけてアナログ電圧出力も具備
QST 8/2000 A Wide-Range RF-Survey Meter
(K1BQT)
AD8307の出力にLM3914(LEDバーメーター)をくっつけた。
クランプ式の電流プローブをも製作し、同軸ケーブルの漏れを測定する。RFIの予防にも使える。
トランジスタ技術 最近ありました。探したんですが見つからなかった。近日中に探して載せておきます。


おまけその2
AD8307は秋葉原の秋月で売ってます。
PICの書き込みができない方には書き込済PICをお分けします。
ご希望の方はe-mailください。